今から8年位前は、聴覚だけでなく知的障害など重複の障害を持つ子供に対して人工内耳は否定的なものでした。
私も当時人工内耳はネットから情報を得ていたものの、周りにはネガティブな意見が蔓延していましたし、
人工内耳の適応条件に息子は合っていないと諦めていました。
しかし、
市役所に行った時偶然、人工内耳のシンポジウムのポスターを見つけました。
そのシンポジウムは東大で開催されるということで緊張しましたが、思いきって参加してみました。
「精神発達遅滞児の適応」についての話があり、発達の遅れがある子に対しても少しずつ適応になっており、条件が緩和されているという話でした。
人工内耳が急に選択肢に浮上してきて、
本当に迷いました。
周りの意見を聞くとやはり、
手術したものの装着できなかった…
装着できても効果がほとんどないこともあるとか否定的な意見が多く、
リスクがあるなら辞めたほうがいいという保守的な考えが多かったんです。
聴覚単一障害児だけでも賛否あるのに、
重複障害児の息子に対して
人工内耳=口話教育 その高度な教育を知的障害のある子供にさせる気か?
といわんばかりの厳しい見方もありました。
私は、息子に対して出来るだけのものを提供してコミュニケーションをとると決めたことを思い出し、人工内耳も選択肢の1つとして、積極的に考えていくことにしました。
そこで、紹介状を書いてもらいシンポジウムを主催していた東大病院に受診しました。
東大病院では、聴覚の検査 発達の検査をして、
「人工内耳の手術をした後他の障害がわかった子はいるけど、わかっていてやった子はいないので、正直どういう結果になるかわからない。やってみないとわかりません。
手話だってわからないかもしれないのにやりたいの?」
と消極的な様子…
その頃になると私の心もも少しずつ強くなってきてめげませんでした。
(家族の支えが常にあったからです
本当に ありがとう)
でも、言語聴覚士の先生は
「やるかどうかは別にして、まず親御さんが人工内耳をするという決断をしっかりと持って、子供が大きくなったときになぜやったのかときちんとその理由を説明できるようにならないといけません。
手話でろうの世界で生きていくという選択もあります。人工内耳をしたからといって手話はダメというわけではないです。
ただある程度ヴィジョンを持って子育てしていくということが大事だと思います。
人工内耳は魔法の道具ではありません。
装着してからの訓練がとても大切になります。」
と息子を一人前として扱って話しをしてくれ
ました。
私は
息子は 重複の障害があるがゆえに、将来ろう社会ではなく、聴者(支援者など)の中で働く可能性が高いと思っていること
人工内耳をすることで 危険な音に気づくことができたり 発達も促せるのではと期待していること
コミュニケーションは手話 口話などすべてを使っていきたいと思ってることなど
私なりに答えました。
そのとき息子2歳半くらいだったと思います。発達は通常の半分くらい。
その後 医療スタッフ間での話し合いがあり、後日再診
「もう少し人工内耳に適した発達を待って、手術しましょう」と
手術をする運びとなりました。
人工内耳の手術をしたのは、息子3歳半の頃でした。
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